フィルムで撮影するということ(考察)

FREEDIA(ブログ主)の趣味の一つは写真撮影で、時にフィルムでも写真を撮っています。
現在も撮影媒体にわざわざフィルムを使う理由が何なのか。これまであまり考えたことがありませんでしたので、整理してみました。

フィルムでの撮影

大学時代まではデジタルカメラが普及しておらず、撮影といえばフィルムが当たり前であった。
当時は富士フイルムの業務用フィルムを10本単位で入手し、よく使用していた。

現像代はプリント込みでも1,000円を下回っていたと記憶している。コンビニで申し込み、2日ほどで仕上がるのを楽しみに待っていた。

仕上がった写真は全体をざっと確認したあと、安価なアルバムにネガと一緒に整理するか、あるいはプリントが入った紙袋にそのまましまい込んでおき、たまに見返す程度であった。

だが、それが心地よかったのである。

出来上がる写真の色味は、フィルムメーカーや銘柄によって異なっていた。たとえば、コダックは全体的に黄味がかっているという印象は今でもある。パッケージのデザインに影響されている可能性もあるが、それもまたフィルムの楽しさのひとつであった。

デジカメに置き換わっていった

ネットによれば、2000年以降、デジタルカメラが徐々に市場に登場し、2010年ごろには普及のピークを迎える。
FREEDIAの撮影スタイルも、ちょうどその頃に子どもが生まれたこともあり、利便性の高さからデジタル中心へと移行していった。

最初に手にしたデジカメはSANYO製であった。現在の目で見ると、静止画も動画も画質は決して良いとは言えないが、当時としては子どもの成長を記録するうえで画期的なツールであった。

写真や動画をPCに保存すれば、いつでも気軽に見返すことができるという点で、フィルムにはない大きな利点がある。
良いタイミングでデジタルの記録手段が普及してくれたことに感謝している。

写真を撮るという行為

撮りためた写真を眺めていると、すべてではないが、シャッターを切ったときの状況や、撮影の動機、温度、音、会話、場合によってはにおいまでもがふっと蘇る写真が確かに存在する。

写真とは、「記憶」を呼び起こす装置であると、改めて実感する。
ただし、それは撮影者自身、あるいは写っている人、現場にいた者に限られるのかもしれない。

……
事実、写真映像は、現実の対象が光を介して直接的にフィルムに刻み込む「刻印」にほかならず、このことが写真映像を、たとえば絵画から区別する最大の特徴であるといってもよい。『明るい部屋』のロラン・バルトも強調したように、写真映像は、ある対象が過去のある瞬間にカメラの前に存在したことを圧倒的な説得力で証明してしまう。
……
私たちは、写真実践を通じて、移ろいゆく時を引き留め、「捕獲」し、「冷凍保存」することを望みながら、シャッター・ボタンに手を掛ける。だがそれと同時に私たちは、そうして切り取られる「世界」の映像に、自ら介入の跡が残されることをもひそかに期待しているのである。
……
「第1章 写真実践の精神分析 青山勝」
『写真概論』勝又公仁彦編 京都芸術大学・東北芸術工科大学 出版局 藝術学舎より

記憶を呼び起こす写真は、フィルムとデジタルのどちらで撮影したものが多いか。やはりフィルムでとった写真の方が、・・・とでも言えれば簡単だが、個人的には大きな違いは感じない。
デジカメでもスマートフォンでも、撮影された写真を見返せば、そのいくつかはフィルム写真と同様に記憶が喚起される。
また、「なぜその瞬間にシャッターを切ったのか」という理由も、言葉にしきれない感情や直感とともに思い出される。

フィルムで撮り続ける理由

もはや高コストとなったフィルムでの撮影を、なぜ自分はいまだに続けているのか。

「道楽」で片付けてしまえばそれまでであるが、あえて言語化するならば――

  • 自身の経験に基づくノスタルジーへの心地よさ
  • 手間のかかるフィルムゆえに、撮影行為そのものが丁寧になること
  • 「いま、ここで」という瞬間に対する意識が自然と高まること

とくに最後の要素は、どこか瞑想に近い感覚すら伴う。前述の引用にもあるように、フィルムによる撮影行為には、デジタルよりも「刻印」しているという実感があるのかもしれない。
現時点においては、これがフィルムを使い続けている理由である。

まとめ

FREEDIAの撮影スタイルの変遷とともに、あらためて「なぜ今もフィルムを使うのか」を考えてみました。
正直なところ、今回、理由を無理に言語化したようなところもあり、まだ完全に消化しきれているわけではありません。引き続き考えてみたいと思います。

ご覧のみなさんは、どう思われるでしょうか?

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

Leica MP, NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical
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