ソニーによれば、2024年にスマホが一眼を超えるという。
少し前に読んだ2022年のネット記事が気になっている。
この記事によれば、ソニー セミコンダクタソリューションズの清水社長は、スマートフォンに搭載されるカメラの画質が、2024年中にも静止画において一眼カメラを上回るとする見通しを示したという。
背景には、スマホカメラのレンズの大口径化や、ソニーが持つ技術の進化がある。ソニーグループは2022年の事業説明会において、2030年にはスマホ向けのイメージセンサー市場が過半を占めるという予測を発表し、これまで想定していた成長鈍化の見通しを上方修正している。特に2024年度には、センサーの大型化が2019年度比で約2倍になると見込まれており、多眼化の限界を補うかたちで、この大型化が今後の画質向上を牽引するとしている。加えて、AIによる画像処理や、「2層トランジスタ画素」技術の導入により、8K動画やより自然な背景ボケ表現の実現も視野に入ってきているとのことだ。
2024年の着地点(ただしGalaxy)
個人的には、スマホカメラの進化には大いに注目しており、その進歩には素直に期待している。ただ、2024年発売のGalaxyに関していえば、ソニーとは違ったメーカーであることはもちろんだが、まだ画像処理の点でデジタル一眼レフには及ばないという印象を持っている。
とくに風景などの遠景では、画像を拡大すると、細部の色合いがべったりと塗りつぶされたように見え、情報量に乏しく感じられる。加えて、処理された画像は彩度が過剰に強調されてしまうことが多く、空の青や木々の緑などが、やや不自然な印象を与えることがある。
先鋭化する技術とユーザーが求めるもののミスマッチ
もっとも、こうした点を不満に思う人が、実際にどれほどいるのかは疑問である。多くの人は写真を細部まで拡大して見る機会はそう多くないだろうし、むしろ発色の鮮やかさを好意的に受け取る人も少なくないのかもしれない。
芸術の世界でも、細密画ばかりが称賛されるわけではない。その場の空気感を画面全体でうまく表現できていれば、それは「良い写真」として多くの人に受け入れられる。細部が多少あっさりしていても、それはそれで十分なのだ。発色の鮮やかさについても同様で、それが印象的な「絵作り」になっているならば、好まれる傾向はある。
それに比べると、最近のデジタル一眼は機能がやや先鋭化しすぎていて、「万人向け」のバランスを欠いているように思える。かつての機械式カメラを製造していた時代とは異なり、今のカメラは電子部品のかたまりであり、メーカー側も新機能を次々と搭載せねばならず、ユーザーがその流れに翻弄されている感も否めない。
スマホカメラ(写真)の行き着くところ
そうした中で、スマホカメラは「誰でも気軽に、きれいな写真が撮れる」という点で、非常に大きな価値を持っている。特に、日常の何気ない風景や記念の一枚を、手軽に美しく残すという点では、その役割はますます大きくなっている。
そんな中、今後ソニーが語るような「一眼超え」が本当に実現するのであれば、それは単にスペックの話だけではなく、多くの人が本当に求める「写真体験」へと、どう進化していくのかが問われることになるだろう。
FREEDIAとしても、その行方には大いに関心を持って見守っている。
