今日はまず、国家公務員の定年と役職定年についての制度のご紹介をしたいと思います。
次に、FREEDIA(ブログ主)が勤めていた職場に限った話ではありますが、役職定年の運用の実態とFREEDIAの受け止めについて申し述べてみました。
この事例がすべての国家公務員にあてはまるわけではないことにご注意ください。
一つの事例としてとらえていただければと思います。
【制度紹介】国家公務員の定年年齢
国家公務員(一般職職員)の定年はかつて60歳だったが、法改正により65歳に引き上げられた。ただし、いきなり5歳引き上げられるのではなく令和13年度まで段階的に引き上げられることになっており、現在も過渡期にある。
令和4年度 | 令和5~6年度 | 令和7~8年度 | 令和9~10年度 | 令和11~12年度 | 令和13年度~ | |
定年 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 | 64歳 | 65歳 |
【制度紹介】役職定年制の導入
単に定年を引き上げるだけだと、組織の新陳代謝が図られず、組織活力を維持することが困難になってしまう。こういった事態を避けるため、定年引上げに伴って管理監督の職に就く者の上限年齢が設けられることになった(役職定年制)。
これにより、60歳に達した管理監督職の職員が常勤で働き続けたければ、非管理監督職ポストに降任させられ、給与も3割減となる。
そのほかの働き方として、定年前(65歳前)に退職し、定年まで短時間の勤務で働く選択肢もできた。
人事院・内閣官房「国家公務員の60歳以降の働き方について(概要)」
【運用の実態】FREEDIAの職場の場合
FREEDIAが勤めていた職場では、60歳になった職員は管理職のポストを外れ、課長-課長補佐-係長-係員といったラインからも外れ、単独の官職(「独任官」といった)を割り当てられるか、係員クラスの席に移らされるか、といったことが一般的だった。ライン上の課長補佐級のポストに移る職員もゼロではなかったと思うが、自分の周りにはいなかった。
そして、ラインでごく簡単な業務を任されるか、独任官で政策的必要性が直ちに判別しかねる業務を割り当てられるかが多いように見えた。
そのような業務についての考え方は人それぞれであり、そこに生きがいを見出す能力がある方もいると思う。ただ、はた目に見て必ずしも魅力的な働き方とは言えないのがFREEDIAには不満だった。
役職定年制を設ける趣旨を調べてみたが、やはり、当時の国会のやり取りからみて、培った経験をもっと活用する働き方を描いていたようだ。
国家公務員法改正時の審議より
第204回国会 衆議院 内閣委員会 第21号 令和3年4月23日
○堀江政府参考人(内閣官房内閣人事局人事政策統括官)
管理監督職にある職員につきましては、役職定年後は、管理監督職以外の官職におきまして、それまで培った知識、技術、経験等を生かして御活躍いただきたいと考えております。
(略)例えば、専門性を生かして六十歳前の職員と同様に現場の業務に従事するとか、あるいは、経験や人脈を生かしたような交渉、調整などに従事することなどが考えられます。また(略)、例えば、知識経験を必要とするけれども若手の長時間労働の原因となっている業務を若手に代わってこなすとか(略)、その知識経験を若手に継承するような役割を担っていただくとか(略)。
いずれにいたしましても、具体的な職務の付与の在り方につきましては、各府省において、業務の実態等を踏まえましてしっかりと検討していただきたいと考えております。
引用した国会答弁のように、役職定年後も引き続きやりがいのある仕事を任されるのであれば、FREEDIAとしては給与が下がったとしても、何の疑問も持たずに霞が関に残っていたしれない。
しかし、私の眼には、役職定年を迎えた職員をうまく使いこなしているように見えず、繰り返しになるが、ごく基本的な事務作業や、中核から近いところにない(回りくどい表現で恐縮です)業務を任しているケースばかりのようにしか見えなかった。
独任官ポストを割り当てられたFREEDIAの先輩は、それまで日々送られてくる大量のメールによって共有されていた情報が、独任官になった後はパタリと来なくなり、職場にいながら孤立しているようで気が狂いそうだったと話していた(その先輩は中途退職後、民間企業に転職し活躍中)。
職場に残るも職場を去るも個々人の事情や価値観によるものであり、良し悪しをいえるものではない。ただ、FREEDIAの場合、このような職場の実態や先輩の話を聞き、60歳以降も今の仕事場に残って働いている姿をどうしても思い描くことができなくなってしまった。
なお、指定職級(民間企業でいえば役員クラスの役職。本省では審議官以上)は退職し、一般公募で別の組織に就職することが多かったように思う。(ご参考まで)
最後に
結局、環境をどう受け止めるかは人それぞれです。FREEDIAにとっては、それが早期退職することになる大きな理由の一つとなりました。
以上になります。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。