早期退職を考え始めた公務員・会社員に読んでほしい一冊

今回は、FREEDIA(ブログ主)が早期退職を決めるに至った一つのきっかけとなった本を紹介します。

定年後のお金 貯めるだけの人、上手に使って楽しめる人【電子書籍】[ 楠木新 ]
です。

「手段」が「目的」になってしまう感覚

写真表現をするつもりが、いつの間にかカメラやレンズのスペックが気になって機材をいくつも集めている。魚との知恵比べやファイトを楽しむつもりが、自宅で釣具を愛でたり釣具屋で道具を集めることに時間を割いている。音楽を楽しむつもりが、イヤホンばかり買い集めているーー。こういった、本来は手段であるものを目的に変えてしまっていることがあるのではないでしょうか。FREEDIAはその傾向にあります。男性の方々なら共感いただけることが多いのではないかと思います(女性はどうなのでしょうか)。

不安がもたらす目的のすり替わり

この手段から目的へのすり替えは、その背景に不安があるのかもしれません。撮影に赴いてもよい表現ができないのではないか、釣行しても坊主になるのではないか、もっとよい音があるのではないかーー。そんな不安が、機材や道具に安心感を求める気持ちへとつながっているように思います。定年後の生活に不安を感じてお金を貯めこむことに執着してしまうことも、これと同じ構造ではないか。
この本を読んでそう感じました。

著者自身の転機と行動

この本の著者は、大学卒業後に生命保険会社に入社し、40代後半で長期休職を経験されます。その後、平社員に降格となりますが、昇進のチャンスがあった際には、自身が始めていた取材や執筆、講演活動を優先するため、それを断ったそうです。その判断の背景には、会社員から別の道に進んだ方々への取材を通じて得た気づきがありました。常に未来について語るそうした方々の話に耳を傾けているうちに、お金がなくても「なんとかなりそうだ」という前向きな感覚が形成されたといいます。
その後、お金や貯蓄は手段であることをはっきりと認識していきます。本書の中で、お金の多寡に過度に不安を抱かず、振り回されないためには、定年後、主体的に活動してお金を使い、自分自身が納得できる人生を過ごすことだと喝破します。

印象に残った退職者のエピソード

本書の内容の多くは、著者が在職中に多くの定年退職者を取材して得た知見がもとになっています。特に印象に残ったのは、定年前はお金のことを細かく気にしていた人が、定年後になるとお金のことを語らなくなるというくだりでした。過去の自分にとって未知で不安だった定年後というフェーズにいざ踏み込んでみると、それぞれ苦労はありつつも、何とかやりくりできている人が大半なのだと感じさせられます。
FREEDIAもまた、老後への漠然とした不安を抱える一人でしたが、勤め人時代にこの本を読んで、早期退職の実現に向けた準備を本格的に始めることになりました。

資産管理についての提案

この本では、退職前からの資産管理の大切さについてもページが割かれています。著者は家庭の資産を「財産増減一括表」というバランスシートの形にして、半年スパンくらいで把握することを提唱しています。不動産も含めて管理すべきとされていますが、流動性が著しく低いものなので、住宅ローンが完済した後は必ずしもその必要はないのではと思いました。
また、資産運用について書かれている章は、超初心者向けの内容が中心です。新書一冊に網羅的に盛り込もうとしたからかもしれません。詳しくは別の良書を参考にされることをおすすめします。

不安をあおるネット記事に惑わされないために

とはいえ、ネットが興隆を極めた今、本ブログにたどり着かれた(ありがとうございます)諸兄の皆様がネットを開くと、「〇千万円を築いて退職した今、絶望の日々」的なタイトルで不安をあおる記事が画面に出ることも多いことだと思います。本書を読んだ後は、そのようなネット記事が気にならなくなること請け合いです。
今の撮影機材の中で精いっぱい撮影表現に挑む、限られた道具で魚との会話と楽しむ、最高ではないスペックのイヤホンで一流の音楽を聴きまくる、そして、不十分かもしれない蓄えの中で自分なりに人生を充実させていく、こういうことだと捉えました。

早期退職を考える方にお薦め

本書は「定年」退職後の生き方を考える内容ですが、上述のように、私の早期退職への第一歩を踏み出すための背中を押してくれた一冊です。同じような不安をお持ちの皆様にも、ぜひ読んでいただきたいと思っています。


 

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